思案投首、香港MBA生活

元銀行員、現香港MBA学生がMBAについて、キャリアについて、私生活について等、彼此考えるブログ

HKUST(香港科技大学)について〜何故アジアMBAか、何故HKUSTかについて〜

ブログの存在をすっかり忘れておりました。。。学部生の頃は、mixiとか毎日のように更新してた気がするのに。。。笑 

 

さて、お恥ずかしながら、本日の日経朝刊のアジアMBAに関する記事で、私のコメントを載せて頂きました。(照

 

 

 

それに関連して、限られた紙面の中では色々と伝わりにくい事もあると思うので、簡単に僕からもコメントしておきたいと思います。

 

◯なぜアジアMBAか

・企業の目線の先はアジア。中国・東南アジア市場でどう戦って行くかが重要なテーマになっている。

・アリババよろしく、中国・アジア企業の躍進も著しい。日系企業にとっても、彼らと如何に戦っていくか(また、協力していくか)を考えなければならない。

・外資系企業の地域統括本部(リージョナルヘッドクオーター)は、ほとんどの場合日本にはなく、香港、シンガポール、その他に所在。当然の事ながら、リージョナルCFOやCEO(外資系企業の日本ポストについた場合、彼らが直属の上司になることも多い)は中国人やシンガポール人であることが多く、また、そういった役職についている日本人というのはあまり聞かない。

・欧米MBAに比べ安価である。(トータルの費用はおよそ半分)

 

◯香港orシンガポール

アジアMBAを語る上で、いつも比較されるこの二つ。今回の日経の記事も同様。

どちらも善し悪しあると思うけど、ざっくりポイントを上げると、

ー香港(HKUST)の強み

・チャイナビジネスに関する知見

・金融関連科目、金融業界への就職に強み。(HKUST)

・中国語も学べる

・アジアトップ、グローバル上位(14位)MBA(HKUST)

(・お酒がやすい)

ー香港の弱み

・英語で100%生活できるわけではない。(授業は全て英語だが、タクシーの運転手とかは英語あまり話せない)

・香港のジョブマーケットでも、中国語に対する要求が非常に高まっている。「英語しか話せません」では、香港で働くのは簡単ではない。

 

ーシンガポールの強み

・INSEADはグローバルランキングでは別格(世界5位、一般的には欧州MBAという見方をされている)、世界的認知度も高い。10ヶ月と短期間だが学費は高い。

・生活は基本英語、英語しか話せなくてもシンガポールでの雇用機会は多い。

・より広範なアジアフォーカス

ーシンガポールの弱み

・除くINSEADで言えば、MBAのランキングは高くない。

(・お酒が異常に高い)

 

◯HKUSTのダイバーシティー

HKUSTのダイバーシティーは高いです。ただし、日経の記事にあった、「95%が外国籍」という部分は、間違いではないんだけど、少しトリッキーです。要は香港国籍ではない、ということなので、95%の内数には中国籍の学生も含まれます。大体30%くらいは中国・香港籍の学生。

更に言うと、アメリカやカナダで生まれ育った中華系の学生も沢山いる。「アジア系」というくくりで見ると、全体のおよそ6割くらいは「アジア系」の見た目。(アメリカで生まれ育った連中は、完全に中身は「アメリカ人」だと思うけど。)

実際のところ、「国籍」という言葉はHKUSTではあまり意味をなさないな、と思います。「あなたは何人?」と聞いても、「生まれ育ったのはアメリカだけど、お母さんは台湾出身で、お父さんは香港出身。家庭内言語は英語と中国語で、パスポートは香港とシンガポールとアメリカの三つ持ってるよ。」なんて答えが返ってくる。

 

まさに、我々が今後ジョブマーケットで勝負しないといけないのって、こういう人材(生まれながらにしてバイリンガル・トリリンガルで、アジアでも欧米でもすぐに適応できる人材)だろうと思う。

 

◯香港のジョブマーケット

非アジア圏からの留学生も約4割いるけれども、特にヨーロッパの学生は香港での就職活動にかなり真剣。ヨーロッパでの就業機会が減っていて(国にもよるけど)、もはや昔のような高給の仕事をみつけられないから、アジアに機会を求めて来ている、という人が多い。

一方で、香港は金融都市だし、給料がべらぼうに高い投資銀行やヘッジファンドで働くチャンスが簡単に見つかるか、というと、はっきり言って難しい(日本人、ということではなく、全体的な意味で)。

結局、上述の通り金融機関も含めて、目線の先は中国・アジア。就職説明会にて、「中国語(マンダリン)が話せなくてもチャンスはあるか?」と聞くと、憚りもせず「無理です。」と回答する在香港欧米系金融機関も少なくない。それくらい香港での中国語の重要度は高まっている。

また、先ほどの通り、ここには英語も中国語もネイティブな人材がゴマンといる。機会は沢山あるが、競争は激しく楽ではない。

 

◯中国語の習得

もちろん、プログラムは提供されます。僕はとってないので、授業の質の程はよくわかりませんが、いずれにしてもMBA課程と並行して学んで、卒業と同時に「中国語もできるようになる」と言うのは些か楽観的かと。普通にやってたら、中級日常会話レベルの習得くらいのイメージではないかと思います。(多分)

一方で、MBA自体の期間が12〜16ヶ月という事もあり、アメリカのMBAよりも短く費用も安いので、別途1年休学して北京への語学留学を決めたアメリカ人や、サマーインターンシップをやらずに語学学習に集中する、という日本人もいます。個々人の組み方次第ですね。

 

◯私個人のこと

ちなみに、蛇足ですが、日経の記事には

卒業後の進路は「やりたいことに合致すれば、日本時代より年収が多少下がっても働きたい。5~10年かけて留学費用を回収したい」と話す。

という風に私のコメントを載せて頂きました。

もちろん嘘じゃないんですが、実際留学前より給料が下がる人っていうのはそんなにいないと思います。私も、「やりたい事をやって、給料も前より多くもらい」たいと思ってますよ、もちろん。笑

個人的には、コンサルティングファーム、PEファーム等でより会社の意思決定に関わる仕事に携わりたいと考えています。

一方で、自分がどうするかはともかくとして、ベンチャー企業への就職とかもポストMBAのキャリアとしては魅力的な選択だと思っています。その場合、前職と同じ給料は望むべくもありませんが、ストックオプションによるアップサイドを狙える旨味があります(当然リスクもありますが)。

5〜10年かけて投資回収できれば良い、と言ったのはそういう意味で、より長期的な視点で、世の中に通用する(また、自分のやりたいことができる)スキルや知識を身につけていくことを考るべきであり、5年後10年後、あるいはもっと先の人生の効用を最大化する(給料という意味でも、やりがいという意味でも)という視点を持つべきだろうと考えています。

 

色々ととりとめもなく書いちゃいましたが、MBAも所詮数あるキャリアプランのうちのいち選択肢に過ぎません。大事なのは、10年20年たったあとの自分の姿を想像できているかどうかかなと。

もし今、自分の将来の姿が描けないのであれば、今後のキャリアや、今何をすべきかについて、真剣に考えを巡らせてみるべきじゃないかと思います。